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横浜市エコデザインワークショップ2009 第1回レポート No.1<概要>



日時:9月15日(火)14時から17時
場所:横浜市工業技術支援センターデザイン室5F

<参加者>
吉岡精工 加藤誠司さん、福田勝さん 以上2名 http://www.yoshioka.co.jp/company/
山田工業所 山田豊明さん、内田進久さん 以上2名 http://www.yamadanabe.com/
遊緑地設計 高橋寛和さん、伊藤雅広さん 以上2名 http://www.ne.jp/asahi/homepage/u-ryokty/
ハンズオンインターナショナル 吉澤あや子さん、以上1名 http://www.hoihoi-zakka.com/

横浜市経済観光局ものづくり支援課 田中清和課長 横浜市経済観光局ものづくり支援課 榎本まさひこさん

学生コーディネーター 小林英里
市民アドバイザー 水野貴美
市民アドバイザー 鈴木由美
メンバー 鈴木かな
デザイナー 荒木孝
デザイナー 鈴木一好

<概要>
キックオフであり「知る」の回として、次のことを行った。
1.講座概要説明
2.Eco+Designの基礎知識講座
3.Eco+Designのヒント講座
4.参加企業自己紹介
5.ブレーンライティング

<内容>
横浜市工業技術支援センター田中清和課長から横浜市の環境への取り組みや環境に配慮したものづくり振興の話、デザイン室榎本まさひこ氏からは、「エコ+デザイン」という視点からの本ワークショップの意義についてご説明をいただいた。
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その後以下の講座とワークショップを行った。

1.講座概要説明
本ワークショップは、エコ+デザインの視点からのモノづくりを目指すが、生活の仕方や振舞い方としてのコトづくり、またエコの啓蒙や企業・商品への共感を得るヒトづくり、エコ+デザインの情報発信は横浜からというシクミづくりも目指したい。また企業・デザイナーだけでなく、市民・学生、行政も参加するオープンな商品開発を行う。さらにSNS・YouTube・Twitter・クチコミを使ってのサーベイ・企画・広報も行いたい。
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2.Eco+Designの基礎知識講座
Eco+Designを行うのに必要な知識として「3つのR」「トリプルボトムライン」「環境配慮設計」についてデザイナーより説明した。「3つのR」以外にもRのつく言葉があるが、何れも発想の原点になり得る。エコデザインでは、製品だけを対象とした狭義の概念だけでなく、社会・産業・製品/サービス・ライフスタイルまで含めた広義の概念で行う必要がある。
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3.Eco+Designのヒント講座
商品開発は、製品だけを考えるのではなくモノ・コト・ヒト・シクミを対象とすること、またマーケティングの4P(製品・プロモーション・流通・価格)も意識すること、さらに対象とする人のセグメンテーションや企業・商品のポジショニングも検討しながら進める。
世の中の変化としてものづくりに関わることでは、「情報伝達環境の変化」「デザインやものづくりのしくみの変化」「生活者の行動の変化」がある。それに対応するには「ストーリー」が必要。
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4.参加企業自己紹介
企業には、会社の業務内容以外に事前に記入してもらったアンケートの「ここが自社の強み」やワークショップ参加の目的を語り、アドバーザー・デザイナーは自身の業務やエコまたはデザインについての思いを語り、参加者それぞれの立場や背景を理解しあった。

5.ブレーンライティング
ブレーンライティングは各自のアイデアを紙に書き出し、それを全員で回覧しながらさらにアイデアを出していく手法であるが、今回はブレーンライティングでアイデア出しを行った。
出たアイデアの中から参加者全員がそれぞれ良いと思うものをピックアップし発表した。
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6.次回までの宿題
今日の講義内容をもとに各自が「優れたエコデザイン」だと思うものを探し、第2回ワークショップ時になぜそれを選んだかの理由も含めて発表する。分野、時代、地域は問わない。

<アドバーザー、デザイナー、メンバーの考察>

詳細は、別紙「第1回報告書 No.2 アドバイザーの考察」に記載しております。

第1回を終了して全員が共通して感じたのは、「参加企業の『自社の仕事への誇り』と『新しい価値観や発想への取り入れようという姿勢』」(学生アドバーザー小林さんの言葉)です。一方で初回でまだ双方に遠慮が見られ、まだ本音で語り合えない状態(デザイナー荒木さん、アドバイザー鈴木由美さん、メンバー鈴木かなさん)という指摘もありました。
第2回に向けて、「大学生を中心とした環境に対する意識の潮流」(小林さん)「市民活動や行政関係の取り組み」(水野さん)といった「企業間だけでは得ることの出来ない価値観や情報」もご紹介しながら、「それぞれのエコ観や業務上常々思ってきた事などをより深く語り合う」(荒木さん)ような場にしていきたいと思います。
「近い将来には新しい商品やサービスが横浜から生まれる」(荒木さん)ことを期待させるワークショップにしていきたいと思います。

アドバーザー考察とワークショップ詳細は次ページ参照ください。



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横浜市エコデザインワークショップ2009 第1回レポート No.2 <アドバーザーの考察>



学生アドバーザー 小林英里

参加者の自己紹介を聞いていて、やはりそれぞれが自身の仕事に対して誇りをもち、それだけでなく、新しい価値観や発想を取り入れようという姿勢があるんだということを素直に感じました。
 
また、今回の参加者の仕事内容や環境に対する意識など、統一性がない分、今後のワークショップではそれぞれの職場内では出てこないようなアイディア・企画が生まれるのではないかと楽しみです。 
そのスパイスとして、現在の大学生を中心とした環境に対する意識の潮流や、実際の取り組みなどもご紹介し、今後の仕事で生かせるような有意義な会へと育てていければと思っています。 

市民アドバイザー 水野貴美
今回、物を生み出すお仕事をしている方々と、机を並べて勉強が始まりました。
特に、「ブレーンライティング」は初体験でしたが、様々な方がそれぞれの発想を書き出すことで、驚きや自分の持つ枠の狭さに気付かされました。
市民活動や行政関係の取り組みをご紹介しながら、一緒に驚きと喜びの「!」を、発見したいと思いました。

また、物を生み出すお仕事をしている方々と直接語り合う機会はとても有意義なものでした。
昨年横浜市の資料で、「re-think」という「R」もあると知りました。
直訳すれば、「考え直す」ですが、私は「発想の転換」、「今あるものから新たなものを考える」など、様々な意味があると思います。
これからのワークショップで、全く想像もつかないような発想が出てくることを楽しみにしています。

市民アドバイザー 鈴木由美
第1回のワークショップでは、それぞれの自己紹介をした時点で、空気がなごみました。最初のうちは、それぞれが発言する機会が多いとお互いの理解も深まって良いと思いました。 

デザイナー 荒木孝
参加企業の皆様はきちんと問題意識を持たれている方々だという事が自己紹介などからも伺われ、日常の業務に積極的にエコデザインの考え方を取り入れたいという熱意が感じられた。

各企業は、超精密加工から、手に取れる手仕事、人が実際に往来する様な場所の設計、そして海外とのやりとりをする輸入業というそれぞれスケールの異なる世界からのご参加となり、各方面の視点から意見を出し合う事によりこれまでにないものが生まれる大きな予感を感じた。

また、ブレーンライティングからも様々なアイデアを持たれている方々だという事が分かり、このワークショップを通して皆さんに何かしらエコデザインの種を持ち帰って頂ければ、きっと近い将来には新しい商品やサービスが横浜から生まれ、巣立っていく可能性が高いと感じられた。

次回以降に向けては、まずそれぞれのエコ観や業務上常々思ってきた事などをより深く語り合うなどし、お互いの距離感を縮める様な交流もさらにしていきたいと感じた。そうする事によりそれぞれが柔軟に語り合い触発されて考えもつかなかった様なアイデアが飛び出す土台作りになるのではないかと考える。

デザイナー 鈴木一好
参加企業はどこも真剣に「エコ+デザインの手法」を自社に持ち帰ろうとする意欲が感じられた。最初のエコの基礎知識の話なども非常に真剣に聞かれていたことが印象に残っている。
ブレインライティングは、リラックスしてから始めるべきだったが、講義終了後休憩をはさんですぐに行ったが、少し緊張した状態のまま行ってしまったのは、次回に向けて反省事項だ。
他のデザイナー、アドバーザーとも相談しながら、次回はアイスブレイクを入れて、リラックスしてからブレーンストーミングに入ってもらおうと思う。

メンバー 鈴木かな
参加された皆さん(企業の方、アドバイザーの方々)、硬い感じだけではなく、柔らかい印象も受けましたが、場があともう少々和めば、さらに「もっと多くの意見や質問が出る」と思いました。次回はみんなが遠慮せずに「生の声」を出していくと良いと思います。


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横浜市エコデザインワークショップ2009 第1回レポート No.3 <ワークショップの状況>



最初に横浜市から、 横浜市経済観光局ものづくり支援課 田中清和課長 横浜市経済観光局ものづくり支援課デザイン室 榎本まさひこさんのお二人からお話をいただきました。

田中清和課長からは、横浜市の環境への取り組み、環境先進都市横浜の新しい施策「温室効果ガス排出量の30%削減を目指した
File photo 荒木孝

横浜のデザイン界の重鎮である横浜市工業技術支援センターデザイン室榎本まさひこさんからは、「エコ+デザイン」という視点から本ワークショップの意義についてご説明をいただきました。
File photo 鈴木由美


いよいよ、ワークショップ開始。

1.モノだけではない:講座概要説明
鈴木より本ワークショップをどのように進めていくかの話を行いました。
このワークショップは、参加企業の保有技術を活かした実際の商品開発を前提としたワークショップであること。
また、モノづくりだけでなく、コトづくり、ヒトづくり、シクミづくりも目指していること。
さらにマーケティングや商品開発の大きな流れであるオープンな環境での商品開発を目指すこと。
今回は、企業・デザイナーだけでなく、市民・学生、行政も参加していきます。
SNS・YouTube・Twitter・クチコミを使ってのサーベイ・企画・広報への取り組みについても説明しました。
資料は別紙参照ください。

File photo 荒木孝


2.エコについてこれだけは押さえておこう:Eco+Designの基礎知識講座
Eco+Designを行うには、イメージのエコで始めるのではなく、きちんと最低限必要な知識を押さえておく必要がある。
初回は、これだけはしっかりと押さえておきたいという3点を説明しました。
講座で使用した教材は別紙参照ください。

「3つのR+R+R+R」
おなじみの「3つのR」Reduce (リデュース)Reuse(リユース)Recycle(リサイクル)以外に回収(Recover)断るやめる(Refuse)修理修繕(Repair)などもある。
いずれもエコを考える場合の基本で重要であるが、Eco+Designを行う場合は、これが発想の原点となる。

「トリプルボトムライン」
トリプルボトムラインとは、企業の持続的な発展のためには経済面の結果に加え、環境面・社会面の結果を総合的に高めていく必要があるという考えをいうが、Eco+Designを行う場合もこのトリプルボトムラインをベースに考えておくと良い。

「環境配慮設計」
「環境配慮設計」について立場の違いからいろいろな考え方がある。
まずは、「環境配慮設計」の定義をみよう。ということで、eco検定公式テキストに紹介されている「環境配慮設計」の概念と利点を説明。
さらにモノだけでなく広範囲な視点から生まれたインバース・マニュファクチャリングを紹介。
EuP指令、WEEE指令、RoHS指令、ISO TR 14062といった「・・・ねばならない」のエコデザインと社会・産業・製品/サービス・ライフスタイルまで対象とした「・・・したい」のエコデザインの違いについて説明した。

さらに「環境に関わる企業活動におけるデザインの役目」について説明した。
ECOグッズに始まり、環境への取り組みを始めたというイメージ、ECO技術を使ったっぽいカタチなどの分かりやすい「・・らしさ」のデザインもあるが、環境意識を共有・伝搬するための触媒といった「場のデザイン」、愛着を持てるファンになるといった「価値のデザイン」、複合的な情報やコラボレーションで、従来無かったモノや仕組みが生まれる「可能性のデザイン」などもデザインの役目である。

File photo 鈴木由美

少し硬い話からスタートしましたが、エコ+デザインに興味がある方が集まっただけあって皆さん熱心に聞いていらっしゃいました。

3.モノだけでいいの:Eco+Designのヒント講座
商品開発やデザインには慣れている参加者も多くいましたが、これからの商品企画開発に参考になる話を(今回は初回なのでマーケティングの基本を中心に)しました。
これから新しい製品を考えていくわけですが、製品のことだけを考えるのではなく、企画段階からモノ・コト・ヒト・シクミを対象とした発想をしていくこと、特にエコに関しては、社会や産業、生活といった広範囲の視点から考えたほうが効果的だ。
またエコ+デザインでは、マーケティングの4P(製品・プロモーション・流通・価格)も重要。中小企業のものづくりは、保有技術やその製品スペックに最初に捕われてしまうことが多いが、エコ+デザインでは、流通・価格も企画の出発点になることもある。(地産地消やフェアトレード商品などはまさに流通・価格が原点)
近年は商品が出来上がる前からWebやSNSを効果的に使ったプロモーションが行われることもあるが、エコ+デザインでもその取り組みなどをそうしたツールを有効に使っていきたい。

ターゲットのセグメンテーションの仕方や企業・商品のポジショニングについての基礎知識も説明しました。
これらは商品開発の基礎ですが、中小企業のものづくりでは技術・製品が最初にあって、この辺がおろそかになりがちです。

最後に近年の世の中の変化、特にインターネットが普及してからのものづくりでの大きな変動について説明しました。
まずインターネットの普及、パソコン・携帯電話等情報伝達手段の多様化等の「情報伝達環境の変化」
オープンなものづくりが可能、世界中から購入・調達可能といった「デザインやものづくりのしくみの変化」
ものを買う前のネットでの検索、情報収集、商品や店舗、価格の比較、購入後の評価やブログ等での情報共有等の「生活者の行動の変化」
それに対応するには「ストーリー」が必要。

File photo 鈴木由美

熱心に話を聞く参加者。

4.やる気が感じられました:参加企業自己紹介
講座終了後にアンケートを記入してもらいました。
アンケート用紙
企業の方々には、このアンケートの「ここが自社の強み」を中心に会社の業務内容やワークショップ参加の目的を語ってもらいました。
アドバーザー・デザイナーは自身の業務やエコまたはデザインについての思いを語ってもらいました。

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 photo 荒木孝

File photo 鈴木由美

参加者の中には市内だけでなく、市外からの参加者もいらっしゃいました。追浜から駆けつけたハンズオンインターナショナルの吉澤さん。フェアトレード商品を扱っておられて熱くフェアトレードの実際についてのお話をしてくださいました。

5.はじめての経験:ブレーンライティング
ブレーンストーミングは知っていてもブレーンライティングは初めてという参加者。まずブレーンライティングの進め方について説明しました。
 
File photo 荒木孝

今回は、まず各自がそれぞれエコ+デザインのアイデアのもとになる「分野・場所」を決めます。
最初にその用紙に自分のアイデアを1点以上書きます。
全員でせ~のでその用紙を左隣の人に渡します。
隣の人から用紙を受け取ったら、その用紙に自分の2つめのアイデアを書きます。
自分のオリジナルのアイデアでも良いし、前の人のアイデアから派生したアイデアでも構いません。
それを全員で回覧しながら1周して最初の用紙が自分のところに回ってきたところでストップ。
その用紙に書かれたアイデアから良いなと思われるアイデアを選び、発表しました。

File photo 鈴木由美

ブレーンライティング開始。みなさんの悪戦苦闘ぶりを笑顔で見守る工業支援センターデザイン室榎本さん。

File photo 鈴木由美

6.いよいよ:次回までの宿題
「優れたエコデザイン」ってどんなものを言う。
今回、それを宿題に出しました。
第2回ワークショップ時になぜそれを選んだかの理由も含めて発表します。
その人のエコ+デザインに対する考え方が色濃く出てくると思いますので、楽しみです。

7.人脈づくりも重要:終了後
こうしたワークショップでは、人脈づくりも大事。
終了後皆さん積極的に名刺交換、情報交換をされていました。
これが今後に大活躍の日がくるのでしょう。

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File photo 鈴木由美