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横浜市エコデザインワークショップ2009 第8回レポート No.1<概要>




日時:12月21日(月)14時から17時  場所:横浜市工業技術支援センターデザイン室5F

<参加者>
吉岡精工 加藤誠司さん、福田勝さん 以上2名 http://www.yoshioka.co.jp/company/
山田工業所 山田豊明さん、内田進久さん 以上2名 http://www.yamadanabe.com/
遊緑地設計 高橋寛和さん、伊藤雅広さん 以上2名 http://www.ne.jp/asahi/homepage/u-ryokty/
横浜市経済観光局ものづくり支援課 岩本大さん 横浜市経済観光局ものづくり支援課 榎本まさひこさん
学生コーディネーター 小林英里、市民アドバイザー 水野貴美、市民アドバイザー 鈴木由美、齊藤真菜、森惇哉
デザイナー 荒木孝、デザイナー 鈴木一好

<概要>
企画したアイデアや企業の情報を「伝える」回として、次のことを行った。
1. ポスター制作方法講座
2. ポスター原稿制作
3. ワークショップの講評、エコデザインの今後

<内容>
1. ポスター制作方法講座(30分)
本ワークショップで進めてきた商品企画の内容や企業の情報をどのように伝えると効果的なのか、その考え方と手法について「情報の整理」「情報の表現」の2つの視点から講義を行った。今回の企画内容は2010年2月3日〜5日に開催されるテクニカルショウで展示されることを前提として説明した。
2. ポスター原稿制作(90分)
項番1.の講義内容をもとに各社ごとに2段階で制作を行った。最初にワークシートを使用して「伝える情報の整理」を行った。次に整理した内容を「効果的な情報の表現」を考えながらポスター原稿にしていった。途中の休憩の後に紙媒体以外のプロモーション手段の例としてイギリスでメディアの研究をしてきた齊藤真菜さんにSNSの活用についての話をしてもらった。
3. ワークショップの講評、エコデザインの今後(60分)
本ワークショップの各社ごとの最終的な成果発表は、テクニカルショウで行う。今回はワークショップ最終日として、講師よりこのワークショップがどのような特徴を持つワークショップであったか、ワークショップの成果を今後どのように活用すれば良いかの話を行った。さらに今後の各社のエコデザインの視点からのものづくりのために、改めて現在のエコデザインの考え方とそれに対する企業の姿勢、これからのエコデザインの考え方の説明を行った。
最後にものづくり支援課の岩本大さん、榎本まさひこさんからワークショップ全体の講評をいただいた。

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<考察>
第8回は「情報のデザイン」という各社が日頃業務で行っている分野とは異なる分野の話であったが、大変熱心にまた興味を持って吸収していただいたため、講義内容をすぐに作業に反映してもらうことが出来た。テクニカルショウまで少し日数がある(1ヶ月半)ので、企画内容を各社持ち帰って再検討いただき、内容もブラッシュアップした状態で、講師が制作の支援をしながら最終の完成を目指すこととした。   

<継続と発展:企業&市民のものづくりネットワークへ 横浜発のものづくりの方法>
「エコデザインワークショップ」は今回で終了するが、そこに参加した企業、市民アドバイザー、学生アドバイザー、学生、デザイナーの人的ネットワークは継続、「ヨコハマ エコ デザイン グループ」に発展することになった。
企業・市民・学生で継続的に情報交換、アイデア収集、ブログ・SNS等のネットワークやコチコミを活用したプロモーションの機会をつくることを行っていく。これからの中小企業のものづくりに必須の「マーケットインの視点」「時代にあった情報発信」に役立てていく。従来の異業種交流、業界内交流等のものづくりの組織とは異なる新しい「企業&市民のものづくりネットワーク」が、ここ横浜市工業技術支援センターからスタートする。ものづくり支援課に機会を用意していただき、それを企業&市民で継承し発展させていく。

  
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横浜市エコデザインワークショップ2009 第8回レポート No.2<ワークショップの状況>



1. ポスター制作方法講座
「情報をデザインする」「情報の整理の仕方」「情報の表現の仕方」の講義を行った。
開発者本人が情報を発信する立場になると「あれも伝えたいこれも伝えたい」という思いが強くなり、一般的に情報過多になり、逆にその情報を本当に伝えたい相手に必要な情報として受け取ってもらうことが出来なくなる。「情報をデザインする」という概念となぜぞれが必要かを理解してもらった上で、その具体的な方法を説明した。2010年2月3日〜5日に開催されるテクニカルショウでの各企業ごとのポスター展示を前提として活用例を紹介した。
  

(1)情報をデザインする
現在インターネットの普及等で莫大な情報の中にいる。その中で企業から発信するメッセージとして「伝えたい情報を伝えたい相手に効果的に届ける」には、「情報をデザインする」という発想が必要である。

(2)情報の整理の仕方
「情報は多ければ良いわけではない、伝える情報を整理し絞りこむ」ということを理解してもらった。情報を絞りこむ方法として、「前提条件の整理の仕方」「伝える相手による目的の違い」「必要な情報を洗い出す方法」の講義を行った。

(3)情報の表現の仕方
情報を表現する方法として、「情報の視覚化」(グラフ・表・数字での表現、図解を使った表現、情報の5つの分類)についての説明と各企業への活用事例案を紹介した。さらにレイアウトの際の「グラフィックの原則」を紹介した。

その時の資料はここからご覧ください。(ユーザー名、パスワードを入れてください。)
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2. ポスター原稿制作
いつもと同様にアドバイザーも一緒に入り各社ごとに作業を行った。
テクニカルショウで「メッセージを伝える相手は、消費者か?企業か?行政か?、その相手にどのような目的でメッセージを発信するのか」といったことから始まり、企画内容の何をどんなかたちで情報として発信するのかを考えていった。

資料はここからご覧ください。
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吉岡精工
グループメンバー: 加藤誠司さん、福田勝さん、鈴木由美、 齊藤真菜

ワークショップでは同社の多孔質体を用いた真空吸着テーブル「ポーラスチャック」を使ったいろいろなアイデアを検討してきた。前回(第7回)終了後にも同社内で今回のワークショップの手法を使っていろいろなアイデアを出してきた。
今回(第8回)のワークショップ開始前に事前打合せを行い、同社の新商品開発についての案を次のようにまとめた。
同社の新商品開発を「マーケティング思考」「社内リソース活用思考」「先端開発思考」の3つのルートで考える。今回のワークショップでの企画案は、「マーケティング思考」型の開発ルートのプロトタイプとしてテクニカルショウで紹介することにした。マーケティングでAIDMAの法則というのがあるが、今回のプロトタイプは、「ポーラスチャック」について消費者の注意を引き、関心を集め、記憶に残すためのプロトタイプとして「ソニーのアイボ」「ホンダのASIMO」のような存在とする。
テクニカルショウでは、展示ポスターと今回のプロトタイプでプレゼンテーションを行う予定。
※AIDMAの法則 Attention(注意)Interest(関心)Desire(欲求)Memory(記憶)Action(行動)

展示ポスターのページへ

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遊緑地設計
グループメンバー:高橋寛和さん、伊藤雅広さん、小林英里

前回(第7回)終了後さらに情報収集と議論を進め、「社員の健康を維持する緑の提案」としてまとまった。
単に都市環境オフィス環境のための緑化だけでなく、そこで働く社員の生活環境、さらに健康のための「緑」の提案とそのビジネスモデルとして企画した。

今回のポスター原稿作成時には、テクニカルショウにおいての目標設定と、事業自体の目標設定をを分ける。さらに買う人(お金を出す人)のメリット、売る人(販売協力者)のメリット、利用する人(実際に利用する人)のメリットをもう少し整理することとした。情報発信でズレが生じないようにキーワードを挙げていった。


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山田工業所
グループメンバー: 山田豊明さん、内田進久さん、水野貴美、 森惇哉

同社は従来より消費者向けの商品開発の実績があったが。今回のワークショップでは、市民アドバイザーと一緒に「モノ」だけではない、「料理する」「食べる」といったシーンでの「コトのデザイン」として検討していった。具体的には、「新しい素材を使った調理道具」で「新しい調理方法」を使って「新しいエコクッキングと料理の楽しさ」を実現させるチタン鍋を企画した。テクニカルショウでは、チタンの特性(軽い、体にやさしい、さびない)・製品の信頼性、(山田工業所の歴史、生涯保障)・新しい調理方法としてエコとスローライフ(弱火調理)を来場者に伝えることにした。
このグループは早い段階から商品の方向性は鮮明になっていたので、今回のポスター原稿制作時には、自社の強み、自社で伝えたい情報、商品として伝えたい情報を整理、何をどう伝えるかといった「情報のデザイン」に専念して作業していった。

展示ポスターのページへ

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横浜市エコデザインワークショップ2009 第8回レポート No.3<全8回を終了しての講師所見>



1. 本ワークショップの目的
本ワークショップは、次の2つを目的として実施した。 

(1)「エコ+デザイン」の視点からのものづくりの方法を修得してもらう
まず「エコの基本」の勉強から始めました。「3つのR」「トリプルボトムライン」「環境配慮設計」等を学び、さらにエコデザインでは製品だけを対象とした狭義の概念だけでなく、社会・産業・製品/サービス・ライフスタイルまで含めた広義の概念で行う必要があることを学び、その手法を修得してもらう。

(2)「モノのデザイン」「コトのデザイン」「ヒトのデザイン」「シクミのデザイン」の考え方を修得してもらう
マーケットに受け入れられる商品開発を行うために、モノだけではなく、コト・ヒト・シクミまで視野に入れた柔軟なアイデアが生じる企画方法とそれをかたちにする・検証する方法を修得してもらう。

2. 本ワークショップの手法
本ワークショップは、企業+デザイナーだけでなく市民、学生も交えた「 参加型デザインの手法」を使って実施した。
環境に詳しい市民と学生ネットワークを活用したマーケティング会社の代表がコーディネーターとなり、さらに社会起業意識の高い学生が参加して意見やアイデアを出し合いながら進めていった。

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3. ワークショップ全体の状況
参加企業の意識が高く、またコーディネーター・学生は環境問題に詳しいことと自分の得意分野があったことで、最初からどのグループも同じレベルで進行出来た。また目的(1)の「エコ+デザイン」の視点からのものづくりでは、広義の概念を理解し柔軟にマーケットインの視点から発想していった。その結果、目的(2)の「モノ・コト・ヒト・シクミ」に関連して、各社ともモノとしての企画だけでなく、コトのデザインにも取り組み、さらにヒトのデザイン、シクミのデザインに踏み込む企業もあった。

4. 企業ごとの状況

吉岡精工グループ
(リソースは高水準であるが、今まで一般消費者向けの商品は作っていない)
・ユーザー視点でのモノづくり、マーケットインの視点からのモノづくりを経験する。
・マーケティングとプロモーションを考えた商品開発の方法を理解する。
市民アドバイザー、学生に主に入ってもらった。
<ワークショップの成果>
・プロモーション効果の高い「モノ」(プロトタイプ)
その技術を知らないまたは興味がなかった人や企業を引き込むモノとなっている。注意、関心、記憶には最良のプロトタイプ だと思う。
・今回の開発の手法を学んで、社内でそれを活用できる「ヒト」
最終回もそうであったが、参加者が中心になって、本ワークショプの手法を実際に使って社内で企画アイデアを出すようにしている。

遊緑地設計グループ
(今までは設計事務所という受注型のビジネスが主だった)
・今回は主体業務を補完する別のビジネスモデルをエコという視点からつくり出す。
学生アドバイザーに主に入ってもらった。
<ワークショップの成果>
・本業(造園・ランドスケープ)を活かす別のビジネスモデルという「シクミ」(プロトタイプ)
ワークショップで企画開発したのは、単純なモノではなくそれを活用する「コト」づくり、さらにそれをビジネスとして成立させるための「シクミ」づくりであった。
・今回の開発の手法を学んで、社内外でそれを活用できる「ヒト」

山田工業所グループ
(今までも一般消費者向けの商品を作っている)
・今回はエコという切り口から発想する。
・マーケティングの視点、特にマーケットインの視点からのモノづくりを経験する。
・中小企業のマーケティング・プロモーションの方法を理解する。
市民アドバイザーに主に入ってもらった。
<ワークショップの成果>
・食についての「コト」づくりから「モノ」づくりという流れから生まれたプロトタイプ

5. 企業&市民のものづくりネットワーク「ヨコハマ エコ デザイン グループ」へ発展
今後に繋る一番の成果でありアウトプットであるが、今回のワークショップに参加した企業・市民アドバイザー・学生アドバイザー・学生・デザイナーの人的ネットワークは継続、「ヨコハマ エコ デザイン グループ」に発展することになった。ものづくり支援課に提供していただいた機会を企業・市民・学生で継続し発展させる。ものづくりの情報交換、アイデア収集、ブログ・SNS等のネットワークやコチコミを活用したプロモーションの機会をつくることを行っていく。これからの中小企業のものづくりに必須の「マーケットインの視点」「時代にあった情報発信」に役立てていく。
従来の異業種交流、業界内交流等のものづくりの組織とは異なる新しい「企業&市民のものづくりネットワーク」が、ここ横浜市工業技術支援センターからスタートする。全国のものづくりの先駆けとなってもらいたい。
以上

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